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広島地方裁判所 平成5年(わ)573号 判決 1993年11月19日

本籍

広島県福山市芦田町大字福田七〇三番地の一

住居

右同

会社役員

寺岡千年

昭和一三年三月一八日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官濱田毅出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年二月及び罰金二〇〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金一〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

主文

被告人は、広島県福山市引野町沖浦五七九九番地において、「製作所福千」の名称で常温煙霧機の製造及び販売業を営んでいたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、売上げの一部を除外するなどの方法により所得を秘匿した上、

第一  平成元年分の実際の総所得金額が七七一二万三二九一円で、これに対する所得税額が三三六七万七〇〇〇円であったにもかかわらず、平成二年三月一五日、広島県府中市鵜飼町五五五番地の四〇所在の所轄府中税務署において、同税務署長に対し、平成元年分の総所得金額が六一一万二三八五円で、これに対する所得税額が五二万八六〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同年分の正規の所得税額と右申告税額との差額三三一四万八四〇〇円を免れ、

第二  平成二年分の実際の総所得金額が六六六四万八八五六円で、これに対する所得税額が二八七一万九五〇〇円であったにもかかわらず、平成三年三月一五日、前記府中税務署において、同税務署長に対し、平成二年分の総所得金額が六二六万六七九〇円で、これに対する所得税額が六七万一四〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、同年分の正規の所得税額と右申告税額との差額二八〇四万七一〇〇円を免れ

第三  平成三年分の実際の総所得金額が六一九三万五一四七円で、これに対する所得税額が二六三三万五〇〇〇円であったにもかかわらず、平成四年三月一三日、前記府中税務署において、同税務署長に対し、平成三年分の総所得金額が七一〇万六八六九円で、これに対する所得税額が八二万八四〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同年分の正規の所得税額と右申告税額との差額二五五〇万六六〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の目標)

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書四通(検38ないし41号)

一  被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書一二通(検26ないし37号)

一  小林千代美(検21号)及び高田操(検22号)の検察官に対する各供述調書

一  寺岡弘子(検23号)及び松葉完(二通、検24、25号)の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  大蔵事務官作成の売上げ金額調査書(検1号)、期首商品棚卸高調査書(検2号)、仕入金額調査書(検3号)、期末商品棚卸調査書(検4号)、外注費調査書(検5号)、雑費調査書(検6号)、青色申告控除額調査書(検7号)及び写真撮影てん末書(二通、検18、19号)

一  検察事務官作成の捜査状況報告書(検20号)

一  平成元年分所得税確定申告書一枚(平成五年押第一一六号の1)

一  平成二年分所得税確定申告書一枚(平成五年押第一一六号の2)

一  平成三年分所得税確定申告書一枚(平成五年押第一一六号の3)

一  平成元年分所得税青色申告決算書(五枚綴り)一通(平成五年押第一一六号の4)

一  平成二年分所得税青色申告決算書(四枚綴り)一通(平成五年押第一一六号の5)

一  平成三年分所得税青色申告決算書(五枚綴り)一通(平成五年押第一一六号の6)

(法令の適用)

一  罰条

いずれも所得税法二三八条

二  刑種の選択

いずれも懲役刑及び罰金刑を選択

三  併合罪の加重

懲役刑について 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第一の罪の刑に加重)

罰金刑について 刑法四五条前段、四八条二項

四  労役場留置

罰金刑につき刑法一八条

五  執行猶予

懲役刑につき刑法二五条一項

六  訴訟費用の負担

刑事訴訟法一八一条一項本文

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 野島香苗)

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